再生医療とは
私たちの体はさまざまな臓器や組織・細胞によって構成されています。万が一、それらが機能障害を引き起こしたり機能不全に陥ったりしてしまったときは、その機能を再生するために臓器や組織・細胞を移植しなくてはいけないことがあります。再生医療とは、そんな臓器や組織機能を再生するために用いられる医療技術を指します。臓器や組織を移植する手術もまた、広い意味で「再生医療」に含まれます。
この再生医療は着実に成果を上げている医療技術のひとつで、2014年には世界で初めてiPS細胞を使った移植手術が行われました。これまで有効的な治療方法がなかった病気も治療できるようになるなど、再生医療は多くの人々から熱い期待を浴びています。
再生医療におけるiPS細胞って?
再生医療を語る上で避けては通れないのが「iPS細胞」です。iPS細胞は一時期メディアでも毎日のように取り上げられていたため、記憶に新しい方も多いはず。しかし、それがどのような細胞であるのか、よくわかっていない方もいるのではないでしょうか。
iPS細胞とは、多能性幹細胞を指します。多能性幹細胞とは、潜在的に生体のあらゆる組織に変化する能力を持っている細胞のこと。この能力は、「分化万能性」とも呼ばれます。iPS細胞は2006年に誕生したばかりの新しい細胞であり、京都大学の山中教授らによって作り出されました。生み出されてまだ間もない細胞ではありますが、再生医療において重要な役割を担うであろうと期待される細胞でもあります。
再生医療におけるES細胞って?
再生医療において重要な役割を担うとされるiPS細胞ではありますが、それが生み出されるまでに再生医療の研究において最も注目を集めていたのが「ES細胞」です。
ES細胞とは、胚性幹細胞のこと。「ES」とはEmbryonic Stem Cellの略称であり、胚の一部にある内部細胞塊によって作られる肝細胞を指します。発生初期の胚の細胞から作られるES細胞は受精卵に似た能力を持っており、人の体を構成するさまざまな細胞へと変化することができます。適切な環境さえ整えば半永久的に維持でき、目的の細胞へと変化させられることから、再生医療に用いる細胞として注目を集めました。
しかし、ES細胞は「他者」の細胞を移植するため、移植された方が拒絶反応を起こす場合があります。また、胚を破壊しなければ細胞を得られないことや、不妊治療の際に不要になった余剰胚を、提供者の同意のもとで用いなければならないなど、さまざまな課題があるため日本では再生医療への応用が長年にわたって禁止されていました。しかし、日本政府は、これから新たに作られるES細胞において、再生医療に用いることを許可する体制を整えつつあります。
身近な再生医療例
これまで有効的な治療法がなかった病気でも治せるようにする再生医療。そんな再生医療は、病気などの治療以外でも私たちの身近な分野で取り入れられています。その分野とは、「美容業界」です。美容外科クリニックでは、ほうれい線やニキビ跡・目の下のクマ・バストの悩みなどを改善するさまざまな治療法に再生医療が用いられています。
メリットとデメリット
美容治療における再生医療では、ほとんどの場合、治療を受ける人自身の血液や脂肪組織・幹細胞が用いられています。そのため拒絶反応を起こしにくく、高い効果が得られやすいとされています。また、別途費用はかかるものの、一度採取した細胞は長期冷凍保存が可能であり、数十年にわたって治療できるのもメリットのひとつです。一方で、再生医療における安全性や効果は、まだ臨床研究段階のものも多く、有効性について正式に認められていないものも多くあります。こうしたことから、再生医療を率先して取り入れていない美容外科クリニックが多いのも事実です。
最善の医療はカウンセリングで選択をしましょう
ほうれい線や目のクマなどを改善する方法として近年「再生医療」が注目を集めていますが、歴史がまだ浅いこともあり、再生医療に対して不安を感じる方は少なくありません。ほうれい線や目の下のクマなど美容に関する悩みを解決する治療法には、再生医療の他にもさまざまなものがあります。そのため、再生医療に不安を抱える方は、美容外科クリニックでその他の治療法を検討してみてはいかがでしょうか。治療実績が豊富な医師の在籍する美容外科クリニックであれば、治療におけるメリットはもちろん、デメリットも含めカウンセリングでしっかりと説明してもらうことができ、納得のいく治療法を見つけることができるでしょう。